音楽と共に生活をしているワタクシ南壽タケルがオススメする音楽をご紹介する記事「南壽のオススメミュージック」。(不定期の気まぐれですが。。。)
今回は去年に続き「2025年マイベストアルバムTOP10」と称し、今年リリースされたアルバムの中からただただ僕の個人的な好みで無邪気にトップ10を決めてみました。なんの微塵の権威もありません。未来の自分自身のための備忘録みたいなもんですね。
去年はエレクトロ・ダンスミュージックをはじめ、踊れる曲が豊富な年でしたが、今年は少し毛色が変わり彩り豊かなラインナップとなりました。よかったら覗いていってください。

10位 サザンオールスターズ / THANK YOU SO MUCH

サザンがアルバムを出せば僕的にはそりゃトップ10入りする。総制作期間21ヶ月。じっくり時間をかけてつくられたサザンオールスターズ16作品目の最新アルバム『THANK YOU SO MUCH』。キャッチコピーは“この歌と出会い あなたがいれば 何も怖くない――”。僕は思う、我々日本人はサザンがいるこの時代を生きてることにもっと価値を感じた方がいい。サザンの曲は当たり前のようにみんなのそばにいるが、その“当たり前”がどれだけ凄いことか。僕的には5曲目の『盆ギリ恋歌』を初めて聴いた時に「これこれ!」と思った。ちょっとエッチで文学的。サザンの真骨頂はエロと文学の融合だと思っている。更に言えばサザンの曲は月日が経つとより良くなる。このアルバムも5年後10年後と自分の人生の歩みと共に成熟して行くことだろう。

9位 Barry Can’t Swim / Loner

バリーはこの『Loner』について「もし僕の最初のアルバムが、僕が育ってきた中で愛して影響を受けた音楽のコラージュだったとしたら、このアルバムはこの1年間の自分自身と人生をありのままに表現した、最もオーセンティックな作品だ」と言っている。そんなエレクトロアーティストとして急成長を遂げるバリーの新作はなんとも彩り豊かなアルバムだと思う。クラブ、ディスコ、エモなど様々なトラックが収められており、12曲41分を全く飽きずに聴ける。ただ踊れるだけではなくそこには哀愁があったりと、アルバム全編を通して、バリーが自ら置かれた世界を模索し、探求していく姿が描かれているのだと感じることができる完成度の高いアルバムだ。今年のフジロックに来ていたが苦渋の決断で観なかったので是非また来日して欲しい。

8位 青葉市子 / Luminescent Creatures

ギターの音色と歌声による弾き語りをメインに着実にその存在を広めて行った青葉市子。彼女が5年振りに作り上げたのがアルバム『Luminescent Creatures』だ。テーマは水面を映したジャケットからも繋がる、海中の発光生物をイメージとしているらしい。青葉市子といえばギターの弾き語りが真骨頂であるが、このアルバムは楽器編成の多様化をすごく感じる。ピアノやフルート、ハープやパーカッションなどといった様々な楽器が使われている。曲によりその彩りの変化はとてもに豊か。今年のフジロックで初めてパフォーマンスを見たが最高。いい意味で眠くなった。これは本当に褒め言葉だということを分かって欲しい。彼女が作り上げる空間は水面に身を預けまるで浮いているような錯覚を生み出す。歌声という名の透き通った水面の。

7位 DARKSIDE / Nothing

この『Nothing』には、彼らがこれまで積み重ねてきた歴史を拒絶、自らを歴史化することを拒む意思があるように思える。言い方を変えればDARKSIDEというバンドのサウンドの固定化を拒むという意思。その意思は、即興性に力点を置いた前作『Spiral』からも感じていたがこのアルバムでより一層それを感じる。そこには新しいメンバーのトラカエル・エスパルザの存在も影響しているだろう。4曲目の『Graucha Max』や7曲目のジョン・レノン「Imagine」を引用した『Hell suite, Pt.I』は攻撃性とリリカルさが背中合わせになったようなこのアルバムを象徴するような2曲となっている。個人的には2曲目の『S.N.C』は何度もリピートしている。約6分の曲の中に彼らが新しいフェーズへと羽ばたく入り口を確かに感じる曲だ。

6位 Black Country, New Road / Forever Howlong

まだまだ記憶に新しい2022年リリースの全英3位を記録した2ndアルバム『Ants From Up There』。彼らを知ったのはアルバムリリースと同年のフジロックだった。当時そのアルバムをまぁ聴いた。そんな儚さと力強さが共存する唯一無二のアンサンブルで、高い人気を誇るBlack Country, New Roadが待望の3rdアルバム 『Forever Howlong』を今年リリース。このアルバムを通して、更に彼らは新たな境地へと進んでいくのを確かに感じることができる。クラシック音楽で育ったメンバーや、独学で音楽を学んだメンバーからなる特異な才能が集まる彼らはThe Quietus誌から「世界最高のバンド」と称賛されるまでに。今年の12/10(水)に来日公演に行ってきたが、感想は言わずもがな。しばらくは余韻に浸れそうだ。今後の更なる飛躍がすごく楽しみ。

5位 Haim / I quit

今年フジロックに出演し、11年ぶりの来日したカリフォルニア出身の三人姉妹によるポップ・ロック・バンドHaim。そんな彼女たちが今年6月に発表した最新アルバム『I quit(アイ・クイット)』は、「自分を抑圧するものに別れを告げ、自由に楽しむこと」をテーマにした作品だ。制作時は3人全員がシングルという時期で、その解放感がアルバム全体を貫くムードを決定づけている気がする。リード・シングルになっている『Relationships』は、行き詰った恋愛関係を歌いながら、スムースなグルーヴでリスナーをゆったりと踊らせるポップ・チューンとして仕上がっている。『I quit』即ち「やめた」は彼女達が自発的に決めた選択であり行動。それをどんな風に軽やかに鳴らすのかの実践。それがこのアルバムである。聴けばわかる。

4位 PARCELS / LOVED

オーストラリア出身ポップ・ファンク・バンド PARCELS。ここ数年”Coachella”や”Glastonbury”をはじめ、多くの世界最大級フェスに出演した彼らの最新アルバムが『Loved』だ。去年の頭に来日した際にライブを見に行ってからというもの、僕もすっかり虜になった。彼らは「このアルバムは僕たちにとってすごく内面的で、とても個人的なものです。だからときには少し居心地の悪さを感じることもある。でもそれが今のPARCELSなんだと思います。メンバーそれぞれが個々の旅を続けながら、みんなの経験を1つの世界に落とし込み、祝福できる場を作ってみました。」と語っている。アルバムを通して曲調に幅はあるが、いずれも上品で艶やか。そしてやはり耳を奪われるのは声のハーモニー。耳から昇天する瞬間が幾度も訪れる作品。

3位 Matt Johnson / Warrior Princess

彼を簡単に説明するとMatt Johnsonは1969年イギリス生まれで2002年からJamiroquaiのメンバーとして活動するベテランキーボーディストだ。このアルバムは、環境活動家Greta(グレタ)が「飛行機の利用は大量のCO₂排出につながる」として、2019年にニューヨークで行われた国連気候行動サミットへの移動に、ゼロカーボンを掲げるヨットに乗り大西洋を横断したことに影響を受けて制作されたらしい。アルバムのタイトルやジャケットに描かれた少女と冬景色は、Gretaと彼女の故郷を表している。マットの美しいシンセサイザーの音色に、ゲスト参加しているCory Wangのギター、Will Leeのベースがマッチしていてまったく隙のない完璧なアダルトジャズファンクだ。『Fascination』のMVを観ればバンドの雰囲気がわかるはずだ。来日求む。

2位 Tame Impala / Deadbeat

ケヴィンパーカー率いるTame Impalaが今年5枚目のアルバム『Deadbeat』を出した。初めて聴いた時「これがTame Impala?」と思った。それはネガティブな意味では無くエレクトロ好きの僕からすると最高に好みだった。従来のサイケ・ロック・サウンドはそのままに、EDM、テクノ、トランスなどといったダンス・ミュージックにとても影響を受けた野心的なアルバムに仕上がっている。オーストラリアのブッシュドゥーフを舞台に、体を動かされる様に作られた今作は、ある意味聴けば催眠的なトランス状態へと誘われ陶酔的な旅へと連れていってくれる。目玉の『Dracula』、湿気を感じるファンク調の『Loser』、Daft Punkへのオマージュを感じる『Obsolete』など。ブッシュドゥーフパーティーの絶頂が脳裏に浮かぶ曲ばかり。嗚呼、好き。

1位 Vulfpeck / Clarity of Cal

Vulfpeckの『Clarity of Cal』が1位なのは完璧に今年のフジロックの思い出と共にある。聴くと苗場での思い出が蘇り、目頭が熱くなる。その感情を紐解くと、このアルバムはライブレコーディングで作られたスタジオアルバムなのもあるだろう。2024年9月18日~24日の5日間、計8回のライブをレコーディングし、その中から最も優れたテイクが採用されているのでライブ感がありグッとくる。今作はサウンドのミックス、ボーカルのオーバーダブによる厚みが、Earth, Wind & Fireのオマージュとなっている。聴けばすぐEarth感がすぐわかるはず。『In Real Life』なんてモロにそうだ。タイトルの『Clarity of Cal』は「カリフォルニアの澄みきった空」という意味。青空の下、このアルバムを聴いて踊れば小さな悩みなんて消えてしまう。さぁ、踊ろう!

感想

以上今年のベストアルバムトップ10でした。こうやってまとめてみると、ジャンル問わず、作品に対して様々な人間の感情、人生のロマンが組み込まれているアルバムが多く感じました。長い年月が経ってもこれらの作品を聴けば2025年のことを鮮明に思い出せるであろう。最後にVulfpeckのメンバーCory Wongが今年1位の『Clarity of Cal』のリリース時にInstagramに投稿した内容から引用した言葉を添えて終わりにします。

“a note to future cory. don’t ever forget how much fun it is to make music with your friends”
(未来のCoryへのメモ。友達と一緒に音楽を作るのがどんなに楽しいか、決して忘れないでね。)

笑い合える友達がいる。それこそが人生の醍醐味で宝物。今年も素晴らしい楽曲を世界中に届けてくれたアーティスト達にありったけの感謝、そして全身全霊のリスペクトを送ります。生活に彩りをありがとう!

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

@takeru_hairstyle