街中華とずぶ濡れの彼女
街中華が好きだ。特に炒飯と餃子。このセットにビールがあればそれでいい。休日のランチで街中華に行く確率は高く、我ながらよく飽きないもんだなと思う。真っ昼間から炒飯と餃子そしてビールを頂ければ、それだけでその日の充実度はボーダーラインをゆうに越えてくる。なんてコスパがいいんだ。
ある日、赤坂は路地裏の名店「赤坂珉珉(あかさかみんみん)」に行っていた。今ではお馴染みの餃子を“酢胡椒”で食べるというスタイルはここ赤坂珉珉が発祥だ。

1人でカウンターに座り炒飯と餃子とビールを注文。「うん、うまいっ、、、」と食べていると“ヴぅワァぁー!”っと外から大きな音が。バケツをひっくり返したようなという表現はまさにこの事という土砂降り。映画「300(スリーハンドレッド)」の大量の矢が飛んでくるシーンを彷彿とさせる雨だ。もう少し遅く来ていたらひとたまりもなかった。食べ終わった他のお客様も流石に外には出れない感じで、しばらく店内に滞在していた。店員さんも「これじゃ出れないね。ゆっくりしてって。」と優しく対応していた。
するとそこへ、
「やられた〜」とずぶ濡れの女性が1人来店してきた。もう少し早く来ていれば濡れずに済んでいた黒髪ボブで白シャツをサラッと着ている彼女は、「最悪〜」と言いながらもその顔は笑っていた。パンッパンっと手で洋服についた水滴を払い、取り出したハンカチで「へへっ」っと顔を拭くと、何食わぬ顔で席に座った。そしてメニューを見て「すいませーん。餃子と炒飯とビールください!」と注文をした。。。
最高、素敵すぎる。
大体の人なら土砂降りでずぶ濡れになれば気分はご飯どころじゃないだろうこの状況を、なんなら彼女は楽しんでいるように見えた。むしろ土砂降りの中来たことが達成感なのか、よりご飯を美味しくさせている気すらする。
髪の毛はお風呂上がりのように半乾き、濡れた白シャツは肌にピタッと張りついている。にも関わらず彼女から感じる多幸感たるや。是非とも彼女で【ずぶ濡れメシ】という深夜帯10分くらいの番組をやってほしい。土砂降りの中、駆け足でお店に入ってきてそのままご飯を食べる番組。孤独のグルメに土砂降りずぶ濡れという要素を取り入れた感じ。うん、観る。
もう彼女に釘付け。目の前の餃子はもはや味なんて感じていない。
僕が食べ終わる頃には雨は止んでいた。席を立ち、彼女の横を通りお会計を済ませる。お店出た後、店頭の窓から見える彼女を最後にチラッと見た。変わらず笑顔で街中華を食べている。お店を後に僕はヘッドホンをして音楽を再生。
▶︎ N’夙川BOYS / 物語はちと?不安定
この曲しかないだろ。。。
彼女は元気だろうか。今もどこかで知らず知らずに周りをあなたの虜にしていることだろう。